岩手県教区長挨拶

 

金剛禅総本山少林寺岩手県教区 教区長 吉田浩士(一関東部道院道院長)

 

~拳士の輪をつないでゆこう~

 

合掌。この度、小野栄喜先生から引き継いで教区長を拝命いたしました。若輩者ですがよろしくお願いします。

県内には、個性ある13道院が活動をしています。県土の広い岩手では限られた数ではありますが、その地域で熱心に少林寺拳法の修行に励み、金剛禅の教えを学んでいます。また、月に一度は盛岡市で開催される昇格考試を合同で開催し、スポ少や学生拳法部の仲間と共に、少林寺拳法の目的である「人づくりによる国づくり」の為の協力がなされています。

 

私の出身は一関市千厩町です。二十歳で秋田農業大学(現・秋田県立大学大潟キャンパス)の少林寺拳法部に出会い入門しました。農業実習生の時は新潟村上道院でお世話になりました。二十七歳で地元に戻ってからは、一関道院に所属し中川景季先生と共に道場や宮城武専で汗を流してきました。五十歳の時に縁あって町内の倉庫を入手し、道場に改装して独立しました。六十歳で33年間勤めた会社を退社し、町内の施設で介護士として第二の人生をスタートしています。この春に『少林寺拳法で介護ができる』という本が出版されました。人を無理なく移動させるといった、力学的コツからの応用動作も参考になります。しかし、それ以上に少林寺拳法が役に立つことは、多くの利用者さんの動きを把握する八方目とか、相手の動きに合わせる調和力といった、日々拳士が修練している基本的な要素だと感じています。

 

「会報・少林寺拳法」の冬号に盛岡中部道院の岡部好孝先生の中学校武道必修化の働きが掲載されていました。大いに勇気づけられる内容でした。特集のテーマは「刮目」です。意味合いとしては、激変の時代を生きるために、良く目を見開いていようとの願いがあります。また、刮目と言えば『三国志』に「男子三日合わざれば刮目して待つべし」という言葉があります。その意味は、三日も合わなければ、人間どのくらい変わっているかわからない。だから、しっかりと目を見開いて見てみろとのことです。これは人間が変わる、変われることを示唆しています。金剛禅の教えにも、縁起の法則によって、すべてのものは常に変化し、すべてのものはお互いに影響を与え合う、とあります。従って我々は、変われる自分を信じて、「自己確立」「自他共楽」の道を究めて、日々の暮らしに活かすという修行を行っているのです。

 

今年度の岩手県教区の活動の一つに、独自のウェブサイトの立ち上げがあります。個々の道院のホームページを束ねて一体的に運用します。その目的は、コロナ禍にあって人との直接的な交流の機会が失われている状況を補うため、また我々の金剛禅運動をもっと多くの人に知ってもらいたいとの思いがあります。早ければこの夏にも、皆さんにご覧いただけるようにしたいと準備中です。是非ご期待下さい。再合掌。